彼女にとって3冊目の写真集、「DOLL」を撮影しました。2冊目の「聖純」も私の作品ですが、前作とは全く違うテイストに仕上がっています。聖純は文学的で、繊細な「ある10代の女子高生の世界」を永遠に留めておきたかった作品と位置づけするなら、今回の「DOLL」は「森下純菜」本人の綺麗さ、かわいさ、愛くるしさを永遠に作品として留めておきたかった。という説明になるでしょう。最近彼女は「思い出づくりをファンの皆さんとするの!」という一見はかなげな言葉を口にすることがあります。これは「森下純菜」を世の中に確実に刻みつけていきたい、いつも共に前を向いていたい、自分の全てをファンの皆さんに知ってもらいたい。という気持ちが込められた言葉なのだと思われます。彼女の考え方は、テレビの中での大勢の中の一人という存在や、「たった15秒のメッセンジャー」より、「森下純菜」本人ひとりの作品として、永遠に残る写真集が至高の存在なのです。要求された世間で言う「露出」はかなりなものと思われましたが、彼女は誇りを持って撮影に挑んだようです。「自分が一番大事」「いつも愛されていたい」という彼女の言葉は、「森下純菜という存在」を通して、ファンの人を大事にしている彼女なりの価値観の表現なのでしょう。「〜胸までは見せても心までは見せない!〜」などという、イマドキの流行歌の様な価値観とは全く違う次元に、彼女の気持ち、心は存在しているのです。
撮影準備には半年あまりが掛けられ、私の手元には50ショットにも及ぶカラーコピーが届きました。彼女はアイドル写真集を何冊も所有しており、所属事務所の資料写真集と合わせ数十冊の写真集を研究し、「綺麗・ミルキーなエッチ・キュート」というキーワードで、特に彼女の大好きな、ビビアン・スーさんのヌード写真集「Angel」、「VENUS」(勿論彼女自身はバストトップやヘヤーを出す訳ではありませんが)、何冊ものヒット写真集を出すトップアイドルの渡辺美奈代さんとカメラマン井ノ元浩二さんとの作品群「Trap」、「Pose」のコンセプトに近いものを、という結論となり、セクシー写真集にありがちなアンニュイな感じや過剰な演出なしに、「あっけらかんと、明るく綺麗、コケティシュなエッチ」で写真集スタッフ全員の意思統一がはかられ、私たちの「DOLL」は完成しました。
実際のロケは一流のアイドルやタレントさんが行うロケを全て彼女にあてはめる。という私からの強い希望で、ハワイ・オアフ島にて行わせてもらい、ハワイ州の記念物指定を最近受けたオールドスタイルの豪邸(なんと!ベットルームが11もある、広大な土地に建つ一軒家だ)と、最新の大理石造りのプール付きの一軒家をレンタルしての撮影をしました。天気は毎日雨のちくもり、一時晴というような状況でしたが、悪天候時はストロボでインドア、晴れ間が出れば直ぐに外撮りにチェンジ。という方式を採り、そんな天気を微塵も感じさせない仕上がりになりました。露出の意思統一が出来ていたため(これは、各スタッフがバラバラの感覚を持っていた場合、確実にもめて撮影中断になる。これはどんな写真集でも日常茶飯事だ)実質の写真集パートの撮影は2日半で終了しました。スタイリストには、奥菜恵などを担当している富田育子さん、アイドル関係ではトップのヘアメイクアーチスト集団、MELANGEの笹原 薫さんを迎え、ハワイでトップのロケコーディネータ(”GORO”の、渡辺達生カメラマンの作品群を全て支えていた)Mr.Mike
Maekawaという、一流スタッフでのチームを組み、彼女はのびのびと撮影を楽しんでいました。
内容に関してはご覧になっていただくしかないですが、彼女の希望したバレリーナのスタイルや、彼女を含むスタッフ皆んなで考えて、彼女も気にいった、ある「ぬいぐるみ」が出てくる(購入予定をしていたら、偶然にも「彼」は大理石の白亜の豪邸の2階にある、ソファの下に隠れていた!)のがこの「DOLL」の重要なポイントになっています。全撮影後に、宿泊していたコンドミニアムの大リビングにスタッフ全員で集まり、撮影ポラを全て並べて「どれが表紙にふさわしいか」「どれが一番エッチ!か?」「どれがパブリシティーに使われやすいカットか?」「そしてどれが奥付(本編一番最後の写真)に来そうか」などのゲームを繰り返して楽しみ、タイトルは?という質問には結局「DOLL」しかない!という結論に達し、本当に「DOLL」に決定しました。
98年2月25日。私たちは誇りと自信を持って「DOLL」を世の中に送り出します。「脱アイドル」「大人への変身」「女優へのステップ」などとは絶対に語らせない、本物の「アイドル」の姿がそこにあるでしょう。彼女こそ、心から本物のアイドルなのですから。
大山文彦 (98.2 発売二週間前の夜に)
●撮影メモ :オール中版カメラ、長尺フィルムによる撮影。富士フィルムの新フィルムを使用するために日本で厳密なテスト撮影を重ねた。実効感度が低すぎるが、コントラスト、増感特性など申し分なく、ハイコントラストになりがちな部分と、ストロボ撮影に使用している。写真集では約半分を新フィルムで撮影した。5ページ、写真3点にコンピュータ加工処理をした。
●タイトル :彼女の前作2冊がいずれも日本語タイトルだった事や、ワニブックスの数々のヒット写真集の語感に近い事から来ています。撮影中2日目位に全体の流れからひらめいて、候補にして欲しいと宣言しておいたら、そのまま採用になりました。
●パブリシティ:スコラ
2/12発売号 6P、アップトゥボーイ4月号 2/23日発売号 5P、FLASH 533号、宝島
3/4発売号 3P、2/25発売の各朝刊スポーツ紙全紙(首都圏:サンケイスポーツ、スポーツニッポン、日刊スポーツ、スポーツ報知、デイリースポーツ、東京中日スポーツの各芸能欄)夕刊スポーツ紙(首都圏:東京スポーツ18面)、3/1011:55〜TBSテレビ系「ワンダフル」、週刊宝石3/19発売号、GIRI GIRI3/20発売号、月刊カメラマン3/20発売号(情報)、3/20ANB系AXEL「1-3月写真集ランキングベスト10」4位、3/24フラッシュエキサイティング、3/25投稿写真、3/28TBSテレビ系「ランク王国」写真集ランキング2/25〜2/28までの4日間のDOLLの売り上げを含めた2月のひと月のランキング発表(2月ランキング6位)、週刊大衆別冊、4/6すっぴん、4/20週刊ポスト、6/29週刊ポスト(青文字は発表済みのもの)
東京・書泉グランデ(03-3295-0011)地下階段にて(左上)
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